Jackson Browne
ウエストコーストというジャンルの音楽をその存在で体現する中心的アーティストであり、70年代のアメリカ最大の詩人とも評されるジャクソン・ブラウン。77年発表のアルバム「孤独なランナー」のラストを飾る名曲ステイです。アルバムコンセプトがとてもユニークで、いわゆるライブアルバムなのですが、ステージでのパフォーマンスだけでなくツアー移動中のバスの中で爪弾くようなシチュエーションでのナンバーがあったりして、ミュージシャンとして生きている日常(つまりライブですね)をまとめてメッセージとして表現しているところが、まさにジャクソン・ブラウンという人の真摯な才能であり真骨頂です。アルバムではこの前の曲であるロード・アウトからのメドレーなんですが、この2曲の歌詞とつなぎ方が本当に素晴らしい。「今日はここで出会えてよかった、あなたが明日目覚めて新しい朝を迎えた頃僕たちはバスに乗って全然違う街にいる、そんな風にして人生は続いていくんだね...」みたいなロード・アウトの毅然としたエンディングから引き続き「でも、もう少し一緒にいて欲しい、もう一曲一緒に過ごしたい、プロモーターも組合もきっとOKだし...」と始まるステイの温かみ。この曲を初めて聴いたのは高校3年の頃か翌年大学に入った年だったかで歌詞の意味などはわかっていなかったのものの、メロディ、ボーカル、アレンジ、そして(ステイ自体は彼の作品ではないのですが)楽曲全体が持つキャラクターから伝わるものがあって、心が洗われるような感じがしたのを覚えてます。この前年に奥さんの自殺という出来事があったのに(もしくはあったから?)、こんなにも淡々と着実に音楽を通じて自分自身を表現できるところが彼のすごさであり、現在まで継続して尊敬を集める理由なのだと感じ入ります。この当時から比べると、経済が社会の仕組みの中心であるかのように時代も大きく変わりそんな社会で大人として毎日を送るようになりましたが、世の中に出て行くまでの若い時期に(彼が歌に込めた思いの全てを理解できてはいなかったとしても)このような音楽をリアルタイムで聴くことが出来たことは、僕にとって非常に幸運だったと思います。
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